スターシップオペレーターズ

遅くなりましたが第2話*1です。

現場ですら、常に図式化されたモニター越しで、戦闘による高揚感は皆無で、それでもやはり人は死ぬという演出意図はわからなくもないのですが、敵の特徴的な武器ですら、ロングの視点で光線二つがぶつかるシーンだけがほぼ唯一の描写とか、なんとなく突撃していて主砲をぶっ放したら勝ちました(整備班がアホな事をしていなければ、多分、表面装甲一枚損傷しただけ)という、ピンチも作戦も機転もへったくれも無い戦い方とか、敵方の事情が描かれないためにせっかく二隻いたのにわざわざ一騎打ちを挑んでくる敵艦がアホにしか見えないとかいった物を見せられると、演出意図がから回りしている、ただ単に主人公側内輪の状況説明だけで進行する、下の下(555の空飛ぶ社長 )な代物でしかありませんでした。

utumi_k氏は『ヤマト』とかの漫画的な宇宙戦闘*2をお望みのようです。しかし自分の望むモノと違うからと言って言い掛かりを付けるのはいただけません。
敵の兵装は大小の差こそあれアマテラスのものと同じです。使い方が違うだけです。そしてその使い方は相手よりも大口径のプラズマでもって主砲を無効化するというものです。どうもutumi_k氏、主砲同士がぶつかり合う描写に目を奪われて何をやっているのか理解できていない*3ようです。
スターシップオペレーターズの世界では表面装甲が破壊されるよりも被弾による熱ダメージの蓄積が問題である事はちゃんと説明されていたはずですが『整備班がアホな事をしていなければ、多分、表面装甲一枚損傷しただけ』とは頭が悪いにもほどがあります。
『せっかく二隻いたのに』というのはすいません覚えてません*4。しかし一騎打ちを挑むのがアホにしか見えないというのは不思議脳驚異のメカニズムとしかいいようがないんですが。

そもそも、根本的に、徹底抗戦する動機がまるで希薄なのが、徹底して祟っている。

希薄に見えるのはutumi_k氏がしっかり見てないからです。連中は防衛大学の自衛幹部候補生だって事を理解してるのでしょうか? というか徹底抗戦じゃないんですけどね、もともと。

今回、敵の無残な死に方を音で聞いたり、味方に死人が出たりしたのに、シノンが少々涙を流すぐらいで、わずかなショックしか受けていないのが、人間描写としておかしすぎる。

目の前で人死にが出たのならともかく敵がどんな死に方をしようが味方とはいえ特に接点がない人が死のうが大してショックは受けないのではないでしょうか? 人死にのニュースなんて大して珍しくもないけどutumi_k氏はそういったニュースを見るたびにおいおいと涙を流すのでしょうか? だいたいシノンが感情に乏しいのは1話、2話で分かると思うのですが?

今までの描写を見ると、ほとんどのクルーは死人が出ても、覚悟が揺るがないほどの動機や背景あるようには、とても見えない。かといって、軽い気持ちで徹底抗戦路線をしていたとしたら、もっとショックを受けていてしかるべきですし。

utumi_k氏はこればっかです。覚悟も動機も背景もちゃんとあります。大学生とは言え王国の脅威がある中で自衛隊に入ろうって連中がそれくらいでもっとショックを受けなければおかしいという考えの方がおかしいです。しかも300年くらい未来の話だし。

その戦死者も、修理を急ぐ必要が無いものを、敵の弾が飛んでくるのが容易に予想できる戦闘中の船外で続けて、案の定被弾に巻きこまれて戦死という、無理やりな殺し方(これ、原作には無い話だそうで)。だいたい、たった30人で宇宙戦艦(設定では300m)を運用しようとするのなら、修理とかの作業の大半は自動行動/遠隔操作ロボットにさせるんじゃないですか?(*)

utumi_k氏、ホントにまるで話を見てません。該当する修理箇所はミサイル発射口で修理を急ぐ必要がないからと後回しにされていた部分です。戦闘が回避できないと分かった時点で修理が開始されているのでutumi_k氏の言うように『修理を急ぐ必要が無い』のではなく修理を急ぐ必要があったから戦闘開始までに修理しようとしていたんです。そりゃ戦闘になってもミサイルが撃てないんじゃ困ります。
utumi_k氏、300mという設定を持ち出してる癖に「たった30人*5」とか言ってますがここは笑うところでしょうか? 設定ではアマテラスは全長310mで最大搭乗人数46人なんですが*6。そして自動行動/遠隔操作ロボットは設定にありません*7。無いモノを使えと言われてもアニメの監督さん、困っちゃうよ。

もともとの動機が希薄で、今からでも大急ぎで補強する必要があるのに、それを完全に投げて、次の段階の「実は黒幕がいます」という話をしだす。

すいません、utumi_k氏が何を言ってるのか分からないんですが。黒幕がいると話し出すんじゃなくて黒幕の存在を臭わす会話があっただけだと思いますが。これって「伏線」でしょ? 何か問題でも?

こういうのは、ひっくり返す元が確立されていてこそ、「実は」とやる効果があるのであって、元が確立されていないにやっても、駄目な物がますます駄目になるだけ。

あぁそういう話ですか。ひっくり返す元は「学生が自主的に王国に反抗する事を決めた」って事で実際に最後の方で思いっきりひっくり返されちゃってますが。あんまり結論を先に出さない方が(笑)*8

戦場の人間描写としては、種すら、ぶっちぎりで下回っています。

そりゃ人間描写がメインじゃない番組ですから。メインはあくまで科学的に本物っぽい宇宙戦闘ですよ、utumi_k氏。

銀河ネットワークは相変わらずプロデューサーとレポーターしか描かれず、具体的な規模とかは説明でも感覚でも、原作で説明されているらしき規模をまるで感じさせないし、敵の王国とか、自国とか、人類世界全体とかいった背景世界やそこにいる人間情報も、相変わらず希薄。

見ていれば分かるんだけど基本的に「密室劇」をやってるつもりだと思いますよ、この番組。だからアマテラス以外の部分はばっさりとカット*9してるんだと思います。実際utumi_k氏が言ってる辺りは特に必要性を感じない作りになってるんですが。描写が希薄なのは確かですがね。

全く、『キングゲイナー』や『∀ガンダム』の導入編の出来がいかによかったか、あらためてよくわかりました。

単にutumi_k氏の好みの問題なので当方にはどうでもいい事です。と言いつつ∀の導入部ってそんなに出来が良かった?

科学/SF描写も、いいかげん。
前総理が乗り込むシーン。無重量状態を表現しようと、その場にいる皆が宙を漂っているのですが、身体を固定していないのに、宙に浮いて静止したままという、お間抜けなシーン。それなら、固定靴とか、手すりとかで、静止していてもおかしくない方法にすればいいのに。

間抜けな描写なのはその通りだけどあれはアマテラス艦内が基本的には無重量だって言う説明なのは分かっていながらutumi_k氏は何を言ってるんだか。手すりは無理があるし粘着靴(固定靴じゃないぞutumi_k氏。)を使ったら宙に浮かないから無重力の表現にならないんですけど。というかそれって空中に静止する方法?

敵艦を破壊した時に”音”が聞こえるという描写も酷い。戦場は真空の宇宙で(だから銀河ネットワークがが効果音をつけるなんて事もしている)、しかも、物凄く距離が開いているのでしょう?

敵艦の破壊音が聞こえるシーンは銀河ネットワークが量子共鳴通信を利用して音を拾ってるんだから『もの凄く距離が開いて』ても関係ありません。量子共鳴通信って距離に関係なくリアルタイムで中継できるってもしかして気付いてないですか? じゃあ銀河ネットワークはどうやってライブ中継を?

回避行動でアマテラスがターンした際、船外作業をしている補給班はまるで動いていませんでしたが、前回同じ事をしたときには、船内の者が壁に打ち付けられていましたけど。この世界には慣性制御があるの?無いの?

慣性制御技術は無かったような気がしますがアマテラスは敵艦をアウトレンジから攻撃してるので船内で人が壁にたたきつけられるような激しい回避行動を取る必要はないんですが。回避行動が激しいものって決めつけてちゃ駄目だと思います。

(*):書き上げた後で「スターシップ・オペレーターズ」擁護集をみると、あの修理をしないと防御兵器の「カスミ」「イカスミ」を発射できなかったから、とのこと。しかしその割には、そのリスクを気にしている様子が、アマテラスの乗組員たちに「全く」見当たらなかったのですけど。てっきり、故障しているところ以外にも、射出口があると思っていたのですが。

utumi_k氏、すっかり騙されてます。それとも脳内blogでしょうか? 修理を急いでいたのはミサイル発射口です。カスミ、イカスミもミサイル発射口から射出されますが戦闘が始まるってのに修理を初めたのはミサイルが攻撃兵器だからです。リスクを気にしていないのは恐らく修理班が船外作業を行ってると知らなかったのとミサイルを発射しなきゃならないのが基本的に近距離からの打撃戦に限られるからだと思います*10

また、「カスミ」「イカスミ」の機能も、なんとなく盾になるとわかるだけで(それすら不注意な視聴者にはわかってもらえるかどうか怪しい)、それ以上の機能や性質については不明確。

ディータ・ミルコフが親切丁寧に機能や性質について台詞で説明してるにもかかわらず何を言ってるのやら。台詞で説明してるのに理解できない『不注意な視聴者』が偉そうな事で。

とことん、駄目な代物ですね、このアニメ版『スターシック・オペレーターズ』は。

とことん駄目な視聴者ですね、utumi_k氏は。
次回は第3話を予定。

*1:http://d.hatena.ne.jp/utumi_k/20050114/p2

*2:スターシップオペレーターズの戦闘はスタートレック的な宇宙戦闘です。

*3:射程距離に優るアマテラスの主砲をアマテラスのそれより大口径のプラズマで相殺する描写はロングの視点でぶつかり合うのが一番効果的です。

*4:コンキスタドールの事か?

*5:たぶん『ヤマト』とかと比較したのではないかと。

*6:ちなみに原作の第6巻ではアマテラスに搭乗していた防衛大学生は全部で283人(他に教官も乗ってる)で残留したのが117人になっている。おかしいですよ、水野センセイ。

*7:船外作業は作業艇に乗ってマニピュレータを使うが宇宙服を着て人力で行うのだが、これも『ヤマト』からか?

*8:最後まで見たから言えるんだけどね。

*9:原作では銀河ネットワークのクルーも大勢乗り込んでるけど、それって描かなきゃならないものではないのは当たり前。

*10:少なくとも原作の設定ではアマテラスの兵装にミサイルなんてものは無いのは秘密(笑)。